グローバル英語教育研究会(AGEnT)ワークショップ

http://globalenglishteaching.jimdo.com/

批判的思考力や対立解決能力をつけるには(第2回)

2012年11月25日(日・祝)[報告

参加者のなかに来春、中学あるいは高校教員としえ任用予定の方がおられた。これまでも何らかの研究会に参加されたとのこと。

AGEnTは、社会的な問題を教材としてとりあげることをしてきているが、なおかつ生徒が主体的に判断し、意見を引きだすような授業をつくることを目指している。これまで淺川がてがけた大学英語テキストのうち、Inspireing English 3(ライティング)を紹介した。

批判的思考力に関しては、ウエッブを検索すると、事実と意見をわけるような論理力のための練習があげられている。そうした技能の先にある、よりよい社会をつくるためのものだとしたい。グローバルイッシューをとりあげることにより、多様なものの見方ができ、批判的思考力が育つと思う。

あとメディアリテラシーやキャリア教育とも関連する。メディアリテラシーは情報教育とかかわって、内閣府が、悪徳商法や携帯の使い方の啓発をすすめている。

英語教育は戦後、Jack and Bettyに代表されるように英米のものの焼き直しであった。当時の授業は、パターンの練習をくり返すものであった。それに対して、生活つづり方に学び、自己表現や自主教材による実践をつみあげてきた。新英語教育研究会による教材は三友社出版により刊行され、また、高校文科省検定教科書も発刊されてきた。

http://www.shin-eiken.com

http://sanyusha-shuppan.com

また、他の多くの英語教育研究会が、英語を教えることに重きをおくのに対して、新英語教育研究会では、英語科の授業をとおして人間形成をはかることを目指している。集団づくりを教科指導のなかでおこない、学級経営にもつながるとしている。つまり、教科指導と生活指導の統合を目指している。

指導要領にある国際理解教育の観点により、環境・開発・人権・平和の課題は教材の内容としてとりあげる意義は見いだせる。しかし、そのようなコンテンツを一方的に教えるのでは、思考力は育たない。英語をつうじてインタラクティブに、生徒どうしのかかわりをつくることで、考えを深めることができる。

ふるくは、つづり方教育(現在は、日本作文の会)に学んだ自己表現活動は、中学校1年生でも自分の思いを表現するとりくむ実践がとりくまれてきている。

http://homepage3.nifty.com/nissaku/

夏休みの思いでを絵日記にして、二学期の最初に、教室にはりだしたり、中学3年生では、I have a Dream などを学んで、みずからの将来を語るスピーチなど節目でのとりくみも定番になっている。

「通じる」ということが、単に英語が通じたということではなく、仲間の共感を得るということであり、エンカウンターやセルフエスティームをたかめる実践とつながる。

どのような英語をモデルにするか、英語教師とフィリピンに行くことも続けているが、英語を学ぶことが、グローバルの進行によって弱い立場の人びとが周辺に追いやられるのではなく、連帯を可能にするという立場である。

http://pheng.jimdo.com

数年前、フリーダムライターズという実話にもとづく映画がつくられた。DVDでも手に入る。カリフォルニアの高校での実話である。目の前で銃で撃たれた友だちがいたり、きびしい環境のおかれた青年たちに、とともにアンネの日記を読み、日記を書いて、それを出版するなどのとりくみは圧巻である。

Freedom Writers Foundation

http://www.freedomwritersfoundation.org/

「平和をつくった世界の20人」にもブラジルの青年の話がある。

http://greatpeacemakers.jimdo.com/

ファヴェーラの丘という映画になっているが、これもスラムに育った青年が成長するというもの。

http://www.nowonmedia.com/favela/

同年年代の子どもたちの問題は中高生の共感を得る。

児童労働に関するものも多い。

http://www.ftcj.com/

フリーダムライターズでは、教師が一方的に知識を教えるのではなく、社会との自分のかかわりをとおして、本物の学びになっていった。

これは、フレイレ『被抑圧者の教育学』あるいはボアール『被抑圧者の演劇』にある理念にもつながる。

フォーラムシアーターという参加型の演劇が展開されている。獲得型教育にも注目もしている。

http://www.kakutokuken.jp

あるいはドラマケーションという動きもある。

http://www.dramacation.com

佐藤学などが提唱する学びの協同体の原理は協同学習であり、授業をとおして集団づくりをしかけていた古くからの現場狂信の実践の発展ともいえる。

人間関係トレーニングや、SST(ソーシャルスキルトレーニング)やSEL(社会感情学習)を英語教育に取り入れたらと考えている。

ニューヨークでは、Colaborative Socio Emotional Learning をとりいれたところ、学力向上につながったという。

http://casel.org/

英語教育で社会的課題を扱うのは、それらが、より多様な意見を引きだすからだ。しかし、英語力のこともあり、選択肢を示し、選ぶようにする場合もある。ディベートも有効であるが、ディベートの先を見通す必要があると思う。

 Inspireing English 3(ライティング)でのピースでは、最後の方に、英語を学ぶということはどういうことか、とか、ビデオゲーム、外国人労働者の是非をとりあげている。別のものでは、バービー人形にあらわれたジェンダーや、広告、文明史的にはモアイ像の謎などもとりあげた。

また、ガンジーの自伝では、いつ・どこで何をしたのかが記述された6つくらいのピースを壁にはり、それを各グループからの代表者が、暗記してまた、グループに戻って、教えあうというような活動を仕組む例は、インフォメーション・ギャップの原理のもとづいている。

 中学校の先生方は日英で教科書の英文と訳を合わせたプリントとつくりペアワークをおこなう、また、学力に応じた課題の設定などもっと工夫しておられる。そのようなプリントを持ち寄って、研究会がなされる場合もある。

人権教育や開発教育に参加型の学習手法を学んできた。

開発教育

http://www.dear.or.jp/

大阪府人権教育研究協議会

http://homepage3.nifty.com/daijinkyo/

ERIC(国際理解教育センター)

http://eric-net.org/

ヨーロッパ青年センターがつくった人権教育のハンドブックは、サイトからダウンロードできるようになっている。

http://eycb.coe.int/compass/

http://www.eycb.coe.int/compasito/default.htm

そのなかから、応用できるものがあり英語の授業でのあつかいを今後検討する。以下のような2つの事例をとりあげたらどうか。

What if という単元では:

SITUATION 1

The government has decided to close all the schools and universities. From tomorrow onwards, all the children can do what they want instead of going to school. What immediate effects would this situation have? And in future years?

などのカードがあり、それに関して、その影響などを図示する。

また、Dear Diary という単元では:あるイベントに参加した生徒による異なる日記を読んで、その立場になって語るというものとなっている。

 

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